編集後記

50年間使える道具を目指して…
ある日、こんな事を想像してみた。 「仮に、50年後に同じロッドを使っているとしたら、どんな具合になっているのだろうか?」 いくら50年間使えるとは言え、同じロッドを50年も使う人が本当に居るだろうか? 恐らくシャフトは痛み、ガイドは取れ、ボロボロになっているに違い無い。普通に使っていても不注意で折れる事が多いカーボンシャフトは50年も経てばバラバラになっている可能性が高い。 今から50年後に同じロッドを使っているという事は、50年前のスチールロッドをビシッと揃えてトーナメントで使っている現役バスプロが居るのか? …そんな変なバスプロは、アメリカ広しと言えども見た事ないぞ!? でも、コレクター達は全く別の次元で動くので趣味の世界と言うの実には面白い。ゴルフ・カメラ・野球バットやらテニスラケットに至るまで、あらゆる趣味物はコレクターズアイテムとして収集家が存在している。 熱狂的な野球ファンは大リーグのバットやらグローブやらを宝のように大事にしているし、アンティークのシルバーアクセサリーやヨーロッパの皿などを夢中で集めるマダムの何と多い事か。 そう言う僕はアメリカを走り回り、他人から見ればゴミにしか見えない釣具を買い集め、店と釣具メーカーまで興してしまった。 なぜだろう? 自分の人生の中でこれだけは誰にも負けないと思えるものはそんなに多くない。それは才能や技術かもしれないし、人に自慢したいだけなのかもしれない。 いや、だれもその時にはそんな事まで考えていないはず。ただ自分への満足度を形として表したいだけかもしれない。 その時その時の流行やノリで興味が移り変わる事もあるだろうし、釣りなんかよりもっと楽しい事があるかもしれない。でも、いろいろ他に探してみても釣りを辞める理由がどこにも見当たらない。 道具だけあればいつでも始められるのが趣味の世界で、1人でも仲間とでも時間があればする事が出来る。お金をかけても、かけなくてもいい。週に1度でも10年に1度でもいいだろう。餌でもルアーでもFLYでもアウトドア-として遊ぶ事は単純で簡単なものだ。誰に釣れるかも分からないし、釣れれば誰でも嬉しい。 アンティークモールでピカピカ光る鉄のロッドを見つけていなければ、アクションロッドはもっと違う構造になっていたかもしれないし、フロリダのオヤジさんとの出会いが無ければ 『 VAGABOND 』 すら出来ていなかったかもしれない。 このHISTORY&CONCEPTでは、何かを伝えられればと思い感じた事や経験した事を書かせて頂きました。結局何を言いたいのかは未だにはっきりとした事は上手く言えませんが、最後まで読んで頂いた方には何かを感じて頂ければと思います。 また、こんな経験から『 VAGABOND 』を立ち上げ現在に至る訳ですが、 VAGABOD製品を通して多くの人に少しでも永く趣味としての釣りを味わって頂ければ嬉しく思います。 僕らがいずれ釣りが出来なくなっても、子供・孫へと受け継がれるモノ作りを続けたいと考えています。 アメリカ田舎町で買った鉄のロッドは未だにピカピカに磨き上げられており、50年前のロッドとは誰も思わない。 時々これを使って釣りをするのが実に楽しい。
釣りは文化だ!

おわり


● 出 演 ●
小栗 一
HIROSHI
VAGABOND号
FISHN POXアクエリアス
MIKE
TOM
RAIDER TRACK レンタカー屋のネエチャン
アンティーク屋のひげオヤジ
他無数 ・ ・ ・