第9章 完成したのは第1号 『MILLION FISH』グリップ

まず様々なタイプの名作と呼ばれるビンテージ品をバラバラに分解して内部の様子を徹底的に観察すると利点と欠点が解り始めた 次に市場に出回るレプリカグリップをよく観察してみるとグリップブランク自体のガタツキや歪を塗装によって隠していたり、細かいパーツの仕上げがあまり良くない事などが直ぐにわかった。 生産性効率を上げる為の工夫はしっかりとしていても、機能を上げる為の工夫はあまり見られなかった。歴史あるメーカーは今までに散々生産性の効率化に苦しんできた為にもっと効率良く生産し、提供したいと思うからこのような構造になったのであろうが、最終部分だけを真似て作るレプリカには、なぜこの部品がこんな形状をしているかという事を全く理解せずに形だけを真似る為、性能が大きく犠牲にされているものも少なくなかった。 現在は機械の精度が格段に上がっており、今の加工技術を使えば、交差は+-5/100mm以内で高い精度の部品を作り出す事ができ、昔では考えられない程の精度を出す事が可能になる。高性能・軽量化・デザイン性を両立させるべく製作を始め、より精度を高める為に高性能ダイキャスト製法にてグリップブランクを製作する事にした これによりグリップブランク本体自体の精度は高まり、素材を流し込んだ後に発生する下地処理工程を大幅にカット。 余分なペーパーがけやヤスリがけを極力減らし下地処理を行う為、商品のバラつきやロスを押さえる事が出来る一方、素材が均一の為、ヘアーライン仕上げや鏡面仕上げ等の下地を活かした表面加工が可能となったのである。また、ヘッドネジを1mmとする事でヘッドのガタツキや緩みを防ぎつつ、内蔵の8点同時圧着コレットをしっかりと確実に締めてくれます。このコレットはロッドフェルール全体を面で包み込むことにより固定する事からロッドへのホールド力が増えるばかりでなくロッドの感度を大幅にアップさせてくれる機能付きです。 さらにヘッドとグリップオスネジとの隙間にオーリングを装着する事で、ヘッドへの砂やホコリの侵入を防ぎヘッドの焼き付けネジのカチコミを防いでいるのです。 こうして一切の妥協を排除して完成したMILLION FISHグリップの部品点数は合計11点、(他メーカーは7点)1周1mmのヘッドネジは交差0.05mm以内、一眼レフカメラのレンズ並に仕上っており、その精度は業界随一である。

1998年12月MILLION FISH GRIP第一号完成

MILLIONFISH GRIP SPECIFICATION
■高性能ダイキャストブランク
■8点同時圧着式ブラスコレット
■オーリング
■マシンカット1mmピッチヘッド&ヘッドセット
■洋銀製セットナット
■洋銀製エンドキャップ