第1章 VAGABOND 命名秘話 |
その昔、僕がアメリカに滞在していた頃(理由は長くなるので省略) 日系人やアメリカン達と良く釣りに出かけた 当時西海岸ではオーシャンフィッシングの人気が高く、米海軍・第七艦隊の基地としても有名なサンディエゴ港には80FTクラスもある世界最大の遊魚船が何隻も係留され、出航すると一昼夜かけて遥かメキシコ湾の沖まで出向き釣りをするという 、いかにもアメリカらしい壮大なスケールの釣りが流行っていた。この男らしい釣りの旅は短いものでも2日、最大で30日間も続き、フィッシャーマン達は来る日も来る日も日の出から日没まで釣りをする。釣れる魚も様々でアバコ(キハダマグロ)、イエローテール、スキッパー、ブルーマーリン、キャリコバス、ドルフィン、時にはアザラシなど日本では考えられないほど釣れるのである。
沢山あるボートの中でも特に良く釣らせるボートの噂は 瞬く間に釣り人の間に広がり僕達の仲間の間でも有名になっていったその中でも際だって評判のいいボートがあった。クルーの手際の良さとサービス精神は他のボートとは違い完璧、料理も美味いし、何よりキャプテンの海への想いと潮の見極めは抜群でとにかく楽しく、しかも良く釣らせてくれる。数あるサンディエゴ港ロングレンジボート群の中でもピカイチのボートがVAGABOND号である。VAGABOND…真っ白な船体に書かれていた文字はとても渋くカッコ良かったのだ。 ある日知り合いに「VAGABOND」ってどういう意味?」と尋ねると、「針路の無い航海船って事だよ」とその人は言った。
魚は状況変化によって回遊ルートを変更する
潮や天候の変化によって一瞬にしてその場の判断を的確にしなければならない。 過去の実績にとらわれずに新しい場所に出かけてみる。 そこにはまた新たな可能性が秘められている。新しい釣果を得る事が出来る。 大海原で航海するあの VAGABOND号のように常に新しい事に挑戦する精神を持ち続け独創性と高性能を追求し、そして新たなものを創出し続けるメーカーでありたい…。
その想いと志を忘れない決意で 「VAGABOND」と命名